「エキビョウ菌」が「エキウム疫病」を引き起こすと書くと、子供の冗談のように聞こえますが、Phytophthora. nicotianaeという病原菌が、葉、葉柄、茎を褐変腐敗させると書くなら、重々しくなります。要するに、しばしば見られる頂芽の腐れのことです。
P. nicotianaeは、多くの種類の植物についており珍しいものではありません。他の様々な植物にも見られ、同様の病気の原因となっています。同菌の活動温度は、7.5℃から35℃の間ですが、適温は25℃から32.5℃と高温のため、しばしば夏季にこのような病徴を呈することがあります。同菌は、水媒伝染し、また侵入発病に水が重要な役割を果たすため、水が跳ね上がったり、葉に残ったりしないようにすることが重要です。
構造上頂芽付近に水がたまりやすいので、頭上灌水はもちろん、直接水をかけることもすべきではありません。水がたまった場合は、息を吹きかける等して水を落とすようにします。
なお、この「エキウム疫病」がP. nicotianaeによるものであることを同定し、同病名を提案したのは、千葉農総研の田中千華らです。